ほおずきの色

梅雨が終わり、待ちかねたようにあちこちで夏祭りが始まる頃、夏の匂いと共に思い出される曲。

ほおずき          詞・曲 さだまさし

 幾つかの水たまりを残して
 梅雨が駆け抜けてしまえば
 湿った風の背中越しに
 君の好きな夏が来ます

 あの日君にせがまれて
 出掛けた小さなお祭り
 綿菓子の味 アセチレンの光
 君は赤い鬼灯を買った

 溜め息で回した 一つの風車
 止まらずに 止まらずに
 回れと二人 祈っていたのに

 君の下駄の鼻緒が切れた
 人混みに 巻かれて 切れた
 僕の肩にすがり うつむいた君は
 怯えるように 涙を零した


 走馬灯に照らされて
 僕は鬼灯をかんで
 風鈴の唄に合わせて君が
 団扇で そっと風をくれた

 僕の肩越しに
 子供の花火をみつめ
 君は小さくつぶやいた
 消えない花火があるなら欲しいと

 戯れに刻んだ
 二人のたけくらべ
 背のびして 背のびして
 爪先立っても とどかない

 あの日のお祭りに
 今夜は一人で行ったよ
 想い出の他に 拾った物は
 誰かが忘れた 鬼灯を一つ



未練。

この曲の主人公はどうにもならない回顧の時に自らを投じています。
人はこれを「未練」という言葉で括ります。
現実論者からすればそれは無に等しい事なのかもしれません。
過ぎ去りし時は戻る事はない。

しかし過ぎ去りし時があるからこそ今がある。
ワタシはその時をも常に大切にしたいと思っています。
人の一生で過ごせる時は無限ではなく、ほんの限られた時しか得る事ができない。
であれば、酸いも甘いも一度に味わうべきではないかと・・・。


この曲を貫いている物悲しさは何処にあるのでしょう。

「一つの風車を止まらずに回れと祈っていた二人」
「消えない花火があるなら欲しいと願っていた彼女」がいました。
しかしながら、「二人のたけくらべは、背伸びして爪先立っても届かなかった・・・」

恋を大別すると二つに別れる・・・というのはずいぶん前に記した気がします。
「叶う恋」と「叶わぬ恋」。
つまりはこの曲の恋愛は成就しなかった。

ここでの「ほおずき」は二人が過ごした時の集約であり、彼の未練の象徴でもあるように思います。
そして彼の想いは未だに燃え尽してはいないようです。
まるで「ほおずき」の色のような情念めいた赤さで・・・。
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by kazz1125 | 2009-07-21 00:19 | 音楽


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