扉の向こう側

薄汚れた扉が開いた
哀しい犬の吼え声が突然響く

狭い檻の中の
遠い目をした犬たち

千切れんばかりに尻尾を振り
出来る限りの愛想を示す犬

噛み付かんばかりに歯を剥き出し
敵愾心の塊と化した犬

怯えそしてぶるぶると震え
人と目を合わせることすら出来ない犬

どの子も一様に心に傷を負っていた


しかし彼らの傷ついた心は
ここでは癒される術もなく
彼らの生命のリミットは
ほんの限られた時間だけとなった

生きる事=死を待つ事になった
生殺与奪の権利を人が握っていた

誰にも愛された事は無かったのか
誰かを愛した事はなかったのか
何か言えよ
何とか言えよ・・・


幼い頃、飼っていた秋田犬が逃げてしまい、どうにも見つからずに動物愛護センターまで探しに行った事がありました。
扉の向こう側は、子どもだった僕にとってすごく重い場所だった・・・。

「飼い主が探しに来てくれる犬はいいんだ。だけどな・・・。」
親父の言葉に耳を塞ぎたくなった。
きっとあの子達は自分の行く末を予感しているのだと感じました。
わかっているんだと思いました。
子ども心に感じたあの子達の怯えた瞳を、ふとしたことで思い出してしまいました・・・。

我が家の秋田犬は足に大怪我をして後日発見されました。
トラバサミという違法の狩猟道具の餌食になっていたのです。
その話は折りあらば後日・・・。
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by kazz1125 | 2006-06-05 21:06 |


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