「ほっ」と。キャンペーン

夜更けのスーパーから

23:30過ぎ。
終夜営業のスーパーに行った事がありますか?

終電にほど近いこの時間。
そんなスーパーマーケットは、ほんの少しだけ無言の賑わいを取り戻します。


仕事帰りの疲れ切った顔をした、緩めたネクタイ姿のサラリーマン。
だらしないジャージ姿の若いカップル。
ほとんど化粧の剥げかけた、口紅の赤だけが気になる中年の女性。
おかま。
ヤクザだかチンピラだかわからないけど、どう見てもそちらの方。
小学校の低学年と思われる、かさかさした素足に薄汚れた運動靴を履いている女の子。
ペンキだらけの作業着の建設労働者。

色んな人たちがこんな時間にを求めて訪れます。
一様にスーパーの緑色の買い物篭だけは腕にぶら下げて。
そして店員も同じく疲弊しきった、空ろな瞳でつまらなそうに客を迎えています。
「カードはお持ちですか」
決まりきった、テープレコーダーのように繰り返される台詞。
無言で首を少しだけ横に振る客。
どう見ても、楽しそうに買い物や仕事をしているようには思えない人たち。



先日、僕は一人の30代そこそこの、ちょっと陰のある眼の美しい女性を見かけました。

決して新しくはない紺色の軽自動車でその人は店を訪れていました。
路上駐車した僕の前に車を停め、ヴィトンの財布だけを握り締めて小走りに店に入って行きました。
別に後を追ったわけではありません。
ただたまたま店内での移動ルートが大体同じになってしまっただけのこと。
彼女はお弁当のコーナーとお惣菜のコーナーを行ったり来たりしながら、半額のシールを貼ってある品物を選んでいた様です。

僕が支払いを済ませ、カウンターで買った品物をレジ袋に入れている頃、ようやく彼女は自分ひとりの分と思われる小さなお弁当を一つ、お惣菜を一つ、とても大事そうに抱えてレジに行きました。

「・・・が半額になります」というレジ係の声。
「カードでお願いします」という彼女の声。
おそらく一日中繰り返されているBGMがふと途切れた瞬間、聞こえてきたその会話。
と同時に財布からスーパーのカードを出す彼女。
無言で受け取る店員。

見るともなしに見ていた僕はその時不意に眼の奥に熱いものを感じてしまいました。
何故だかわからないけど無性に悲しくなったのです。

僕にはまるで無関係な人。

でも、
ヴィトンの財布が
彼女の紺色の軽自動車が
大事に抱えていた半額のお弁当が

全てが・・・全てが腹立たしいほど悲しかった。

「ちゃんとご飯だけは食べてくださいねっ」て、もちろん言うわけは無いけれど、心で思いながら、僕は店を出ました。

生きてくって結構大変な時もあったりします。
でも、どうってこと無い時ももちろんたくさんあります。

今日も夜更けのスーパーには、色んな人達が買い物に訪れます・・。
[PR]
by kazz1125 | 2006-02-07 01:15 | 雑感


<< 雪模様 愛車 その2 >>