夕暮れから
もうしばらくの時が過ぎた頃
町外れの小さな保育園の
明かりがついている部屋は
たった一つだけになった
もう残っている子も数えるほどで
どの子も遊び疲れて
今はただ
大好きなお母さんが
迎えに来るのを
今か今かと待っている
ドアの開く音がする度
彼女たちの瞳に輝きが戻るのだが
そこにあるのが
自分の母親の姿ではなかった時
ほんの束の間、悲しげな顔になる
そして今はもう
その感情すら押し殺して
何事もなかったように
時を遣り過す術を
幼いながらに身につけている
いつしか一人減り、二人減り
部屋の壁に飾ってある
子どもたちが書いた
お母さんの似顔絵だけが
最後の子どもを見守っている
悲しい位
静かな時が流れ続けている
by kazz1125
| 2007-11-06 19:42
| 心
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