じいちゃんの匂い

少しだけ
陽射しが暖かさを取り戻した
街行くたくさんの人たちの
足取りも軽く見えるのは気のせいではなさそうだ

そんな人々の中に
埋もれるように歩いている僕に
ずいぶん久しぶりの
記憶のつぼを刺激する匂いが
柔らかい風に乗ってどこからか届いた

仁丹・・・?
久しく嗅いでいない
懐かしい仁丹の匂い

年に数回
一人娘の私の母に会いに
痛む足を引きずりながら
それでもいつもニコニコと
遠い田舎からやって来る
じいちゃんの匂い

あの頃
じいちゃんが必ず着ていた
今思えば一張羅だったんだろう
背広の色や柄
そして欠かさず僕に買ってきてくれた
新宿の小田急デパートの
きっと奮発してくれたんだろうな・・・
大事そうに持って来てくれた
赤いリボンの小さな箱の
アップルパイ

あっという間に
そんなものまではっきりと思い出されて
貧しかったけど
そんな事は微塵も感じずに
楽しかった日々が
早春の街の中を駆け抜けていった


今度のお彼岸は
じいちゃんに会いに行こうかな
もちろん仁丹とアップルパイ持ってさ・・・
あの頃みたいに
一緒に笑いながら食べられたらいいね
じいちゃん
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by kazz1125 | 2008-02-22 09:15 |


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