回帰の扉

いつものように仕事を終え
疲れた足を引き摺る様に
マンションの玄関ドアに向かう

キーシリンダーに鍵を差し込む一瞬
15年も前の
まだ小さなアパート暮らしだった
娘たちがうんと小さかった頃の
「あぁ、お父しゃんが帰ってきたよ~」「おみやげ買って来た~?」
そんな嬉しそうな声が
聞こえてきたような気がした

戻ることの無い筈の時が
私の心奥で確かに戻った
そして今
あの頃の気持ちをすっかり忘れている
自分自身に悲しい気がしている

静かにドアノブを回した時
全てが現実へと回帰する
だからこそ
しばしの感傷に身を任せるのも悪くはない
それは
誰にも気づかない位ほんの一瞬の事だから

そして今日も明日も
回帰の扉を私は通る
扉は何事も無かった様に
静かに閉まって行く
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by kazz1125 | 2008-06-11 00:31 |


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