夕方の平和

今時、時間を「子の刻」だの「丑三つ時」だのという方は、身近には流石におりません。
日常生活では午前・午後を付加して使う12時間制と共に、鉄道などでは24時間制が使われています。
昔で言えば「申の刻」、夕方五時過ぎになると、昼間とはまるで違うひんやりとした夕方の空気と、あっという間に茜色に染まる西の空に、深まり行く秋の気配を肌身で感じる事一入です。

ふと思い出した子どもの頃。

毎夕この時間になるとお豆腐やさんのラッパが聞こえてきました。
「パ~プ~パ~プ~」(ワタシにはこう聞こえた)
次第に近づくラッパの音。
「お豆腐屋さ~ん。」
「は~い。」
ラッパの音で豆腐屋さんの居場所を正確に把握していた母の呼びかける声。
「キキキ~」という自転車のブレーキ音とお豆腐やさんのいつもの返事。
あちこち傷だらけの金物のボールを持って突っ掛けで外へ出た母のこれもまたいつもの「木綿一丁と揚げ一枚」・・・。
遠くではお寺の鐘が響いている。
暗くなるまで外でブロック塀にボールをぶつけて遊んでいた僕は、「今日はお豆腐と油揚げの味噌汁だなぁ・・・」(←当時のボクは油揚げが苦手だった)
家に入ると「ヤン坊・マー坊天気予報」の♪「僕の名前はヤン坊、僕の名前はマー坊。二人合わせてヤンマーだ。君と僕とでヤンマーだ」という牽強付会の傑作とでも言うべきCMソングが流れている・・・
そんな平穏に一日が収束してゆく夕方。

全然裕福ではなかったけど、今思えば毎日が平和でした。
もちろん両親は生活することで精一杯だったのでしょうが、僕自身はなぁんにも考えずにただ学校行って、帰って来ては真っ黒になって遊んで、テレビ見て・・・。
今こうして、少しだけの憧憬と共に思い出されたと言う事は、ささやかだけど幸せ・・・な時だったんでしょうね。

戻れるものなら戻りたい「時」の中の「一つ」です。
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by kazz1125 | 2008-10-18 18:14 | 風景


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